植物の気配と樹木の品格の事・・。
今月の中旬ですが、杉並区I邸の庭造りが終わりました。
初めの打ち合わせでご主人さまからのリクエストが「樹木のアーチ」でした。
少し見上げた時に樹木が覆う様に大きめの樹を植えたいという事で、一番のポイントは樹形の良い3.0~3.5メートルの楓を見つける事でした。
まずは一番手前にシンボルツリーとある程度ヴォリュームのある植栽スペースを作る事が全体の要になります。
こちらは道路に面したお家ですが、必ずしも通りから見えなくても、「植物・樹木の気配」があることで、空気感が変わります。
これは理屈では語れない植物の生命力によるものと思いますが、味気ない空間がぐっと深みのある土の香りのする場に変わります。
樹木の選定は、実は業者さんにお任せしてしまうのですが、とにかく仕入れは「センス」ですから、いつもお願いしているFさんにお任せしてしまいます。
条件を伝え、色々な農家さんを廻ってもらううちに二本の「ハウチワカエデ」に候補が絞られました。
珍しく画像を送ってもらい見るのですが、画像では正直雰囲気が伝わりませんので「どちらが品がありますか?」と聞いたところ即答で「後の画像の樹の方です」と・・。
こういうやり取りが出来るFさんにやはり全幅の信頼を置いてしまうのですけど、当日に対面した樹はやはり素晴らしいものでした。
私自身、実は樹木は当日まで見ません。
まず朝の引き取りの時点で自分自身が感動したいから。
「ああ、この樹がお客様と出会うのだと」この感動は実はそのままお客様に伝わるもので、庭造りは「サプライズ」と思っていますからまず自分が感動しないと面白くありません 笑。
実際この樹は、施主様が大変気に入って下さり植栽にも似合いました。
いつも言う様に、お客様の品格にはそれ相応の樹木が呼ばれるもので、当店のお客様は本当に素敵な方が多いと嬉しくなります。
当日はご家族皆様でお手伝い下さり楽しい作業になりました。
特にまだ小さいお子様が、これまた小さいスコップで土を掘って下さり微笑ましかったです。
後に頂いたメールで、お子様が朝に夕に窓から庭を眺めているとのこと・・。
これは今年一番嬉しいメールでして、子供たちに土に触れてもらう活動「たっち ざ あーす」に自らの仕事が沿っているのだなと確信が持てました。
まずは長く付き合う樹木をお客様に届ける責任の重大さ。
また、住まわれる方、これから成長する子供たちに大切な「庭」を作る事が出来るよう。
これからも精進しなくてはと思わせて頂いた大切なお仕事でした。