鹿児島県日置市伊集院町K邸の庭造りを終え帰京しました。
初めて担当の方に連れてきていただいて、施工前の土地を見せて頂いてから一年近くが経っています。
その時の印象は「水の匂い」で、近くに川があるわけでもないのに、水の気配がありました。
時折吹く風に、湿度とも違う水の重さのようなものを感じる、しかもそれがなにか清浄な感もあって、きっと良い庭になる気がいたしました。
そう感じた通り、施工日初日には濃霧が地域を覆っていました。
なにかこの土地を守ってきた水の神に迎え入れて頂けたようで、神秘的なものを感じました。
施工自体は、いつもの職人さんに手伝って頂きスムースに作業が進みました。
後日、地元の業者さんが芝を貼ってくれます。
今回、庭施工日程が建物の施工の関係で2週間ずれました。
二日目は祝日だったので、そのお陰で施主様ともお会いできました。
設計の時点で、ヒアリングシートにご記入いただき送って頂いたのですが、その内容がとても具体的で、庭に対する想いやお子様への愛情に満ちていて、一同感激したものです。
その施主様の思いに同調するべくの庭づくりでしたが、想いに添ってのプランでしたので、自然優しい印象のお庭になった気がします。
思い出の樹木「花海棠(海棠桜)」もちょっと見たことが無い樹形の良いものが見つかり、リビングから一番良く見える場所に植栽しました。
施主様にも気に入っていただけたようで、嬉しかったですし、息子さんもさっそくお庭で遊んでくれていました。
今回お会いできたのも偶然ではありませんね。
今回の件を通しても、庭作りというのは理論理屈やテクニックよりも、どれだけ施主様の想いやご希望を、樹木や草花、また土地の信仰や氏神様のお力をお借りして形作るものであると再確認しました。
施工中、子供からお年寄りまですれ違うと挨拶してくれる事にも驚きましたが、なにか上品で清浄な雰囲気もある土地でした。
聞けば、ザビエルが最初にキリスト教を広める許可を得た場所だとか・・。
そういった街の歴史や、醸す気配や息遣いを感じながら、今後も庭づくりが出来たらなと思わせて頂きました。